育ちのこころ2024年3月号
 【ママやパパたちへ】 3月育ちのこころ
最後は『我慢』で
 

3月です。季節が冬から春へと移ろうとし、木々のつぼみがふくらむこの季節が一番好きです。

子どもたちは、「卒園」に喜びに胸をふくらませます。そして、4月に向けて期待をふくらませるのです。

この時期に、卒園するほし組のママ・パパには、竜ケ崎幼稚園で大切にしてきたことをもう一度確認して小学校生活に臨んでほしいと思います。

また、たまご組からひつじ組までのママ・パパには、竜ケ崎幼稚園での毎日で何が子どもの内に育っているのかを大切にしながら4月をむかえてほしいと思います。

今回は、「我慢」を考えましょう。これは、子どもにとっても、親にとっても大切なことです。

子どもにとって「我慢」は、well-beingと結びつきます。「幸せの4つの因子」のポイント、自分の好きなこと、やりたいこと、誰かのためになることを、仲間と共にチャレンジしていくことが重要なのですが、そこにある育ちの根っこは「自分の人生に主体的にかかわる子どもに育てる」です。

この根っこが育っていないと、いくら読み書き計算に優れていても社会では通用しない人になってしまいます。大切なことは、自分の能力を、みんなの中でいかに発揮できるかなのですから。

そこで「我慢できる子」が大事なのです。みんなの中で過ごせること。そして、仮に上手くいかなくてもくじけないで頑張れること。その「我慢」が、「自分の人生に主体的にかかわる力」を育てます。

ママやパパにも、「我慢」を大切にしてほしいと思います。それは、「子育ては『我慢』とのタタカイ」だからです。

経済学者が教育を「投資」と捉え、知識や技能を「人的資本」と呼びますが、その「投資」や「人的資本」の成果が表れるのは18歳から75歳で、特に40歳から60歳の間で最も大きな影響となることがわかってきました。

言い換えると、幼児教育は重要なのですが、その効果があらわれるのは18歳以降ということです。

そう、「幼児期は『がまん』の時期」です。読み書き計算という成果(認知能力)に目が奪われるのは、「早く教育の効果を見たい」が親の根っこにあるからではないでしょうか。でも、そこはじっと我慢してほしい。幼児期は非認知能力を育てる時期。目には見えないけれど、学びの基礎となる時期なのです。

2000年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授は、就学前に身につけた非認知能力は、就学後の認知能力を伸ばすのに役立ちますが、その逆は観察されないことを示しました。これをママやパパが実践できる合言葉が、「我慢」です。

アフリカのことわざに、「ゆっくり ゆっくり バナナは熟れていく」があります。「熟れるまで待ってね」、「熟れるまで我慢してね」です。「ガマン ガマン」を合言葉に、4月からの新しい生活に向かいましょう。

そういえば、先日、23歳になった卒園生が教会の礼拝にひょっこり顔を出してくれました。礼拝がなつかしいと。その子はなんと東大を卒業し、東大の大学院に進むそう。「学ぶことが面白い」と言っていました。卒園生たちはみんな頑張って、いろんなところで活躍しています!   (園長:飯塚拓也)

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